和竿を使う人のために
竹はデリケートな構造で一本一本性質が違うので、
竿の目的に応じて竹の性質を見極めなければなりません。
百本の竹からつかえるものは一割程度。
一本の竿が出来上がるまでに三ヶ月、
塗師屋(ぬしや)の仕事までこなして七十工程を1人の手仕事です。
竿師が思い描いたものがその通りに出来た時の満足感は格別。
竹竿は機械製品と違って手入れが行き届いていれば五十年以上はもち、
年を追うごとに貫禄のある美しさが出て来るものです。
魚の微妙なアタリをよく伝えるので釣りを楽しむ方には一番の竿です。
伝統工芸品、美術品としても美しい和竿ですが、
竿師はあくまでも“魚を釣る竿”を第一に考えて仕事をしています。
和竿の手入れ方法と保管
- 和竿は使用後水気をよく拭き取り、乾燥させることが手入れの基本です。
海釣り用の竿ならば固く絞った手拭いなどで、、塩気を完全に拭き取ってください。
- 乾燥するにあたっては直射日光を避けること、風通しのよいところを選んで陰干ししてください。
内部へ水が大量に入りこんだ場合は別として、通常濡れたくらいであれば、すげ口を上にしておいた方が乾燥は早いです。
- 空拭きには木綿の布がよいでしょう。化学繊維の布でも悪くはありませんが、ウールは避けた方がよいでしょう。
静電気をおこし、塵の付着する原因となります。
- 穂先や穂持などを拭く時は布を往復させず、必ず一方方向に元から先にかけて拭きぬくようにします。
こうすれば、布へひっかけて折る折損事故を防ぐことができます。
- 収納する際にはすげ込みにごく少量の植物性油を擦り込んでおくのもよい方法です。
このための専用の油が発売されています。
- 基本的には常温の室内へ置くことで十分です。ただし、冷暖房の近くはなるべく避け、温度差が大きくなく、通気性のよいところなら申し分ありません。
和竿はあくまで釣竿であるから使ってこそ価値があり、仕舞い込んでいたのは意味がありません。昔の釣り人は「竿に水を見せる」と含蓄のある言葉を残しています。いかなる銘竿でも死蔵したままでは泣いているに違いありません。
和竿の取り扱い方
- 和竿を使用する際は並継ぎ、印籠継ぎにかかわらず、穂先を穂持に継,さらに穂持下と、上から順に継いでいきます。このとき節の芽が交互になるように継ぐのがセオリーです。これは竹が生えていた状態に戻すとの心です。
- 込みはしっかりと継ぎ、釣りの途中で何度かは点検して継ぎ直してください。緩まないように作ってはあるものの、長時間振り込みの動作を繰り返しているうちに、ある程度込みがあまくなるのは避けられません。
- 釣り場では無理な扱いは絶対にしないこと。
- 釣りが終わった後は継ぐ時と逆に元から順に抜いていきます。この時用意の布でさっと水気をふきとっておくこと。入念な手入れと後始末は帰宅後にしましょう。
- 雨中などで使用した場合に、すげ口がしまって抜けなくなることもあります。こんなときにねじって抜こうとするのは絶対禁物、竿を抜く時は必ず直線的な力を加えるようにしましょう。すげ口近くを持ち、瞬間的に力を入れて抜くようにすれば案外抜けるものです。
- 竿の調子を見ると称して、穂先だけを持って曲げることは絶対にやめてください。竿は継いだ状態で弾力がバランスよく分散するように案配されているものです。また、強そうに見える布袋竹の穂先は、急激にまた鋭角的に曲げる力には弱いものです。
- 穂先を逆に持って振ることも禁物です。これが高野竹であった場合、驚くほど簡単に節の部分が折れてしまいます。
和竿はあくまでも竿として接すること、常識はずれの扱いは絶対に避けるべきです!
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